インバウンド戦略を成功させるために、商品やプロモーション以上に重要なのかもしれないもの。それは「組織」のあり方です。数多くのブランドを抱え、多様な部門が連携する資生堂ジャパン様は、いかにして部門の壁を乗り越え、全社一丸となってインバウンド市場に向き合っているのでしょうか。本記事では、その鍵である「チームビルディング」の秘訣を、私たちNOVARCAとの取り組みと共にご紹介します。
課題
- コロナ禍を経て、インバウンドを改めて重要な市場と捉え、全社的な取り組みとして再始動させる必要があった
- ブランド、営業、本社など、多くのステークホルダーを巻き込み、部門の壁を越えて協働する体制を構築したい
- メンバーのナレッジが十分でない状態から、効果的な戦略を推進する必要があった
施策
- 2024年7月にインバウンド専属の「ツーリストマーケティングチーム」を発足
- NOVARCAとの戦略的パートナーシップのもと、全社横断のワークショップ等を開催し、ナレッジの蓄積と目線合わせを実施
- 「ビジョンの共有」「現場の重視」「ナレッジの蓄積」の3つを軸にしたチームビルディングを推進
成果
- 部門横断での協力体制が構築され、全社的なキーイニシアティブとしてインバウンド戦略が加速
- 「カウンセリング」など、自社の強みをインバウンドで最大化する勝ち筋を発見
- チーム全体のインバウンドへの理解が深まり、具体的なアクションプランの精度が向上
なぜ今、インバウンド専属チームが必要だったのか?
コロナ禍を経て、資生堂ジャパン様は訪日外国人を単なる「観光客」ではなく、一人の「生活者」として捉え直し、「新しい市場創造のイニシアティブ」の一つとしてインバウンド戦略を位置づけました。そして2024年7月、その推進力となる専属部署「ツーリストマーケティングチーム」が発足。私たちNOVARCAも戦略的パートナーとして参画し、新たな挑戦が始まりました。
しかし、発足当初は担当者自身も「ナレッジが全くない状態」。ブランドチームや営業チームなど、社内の多くのステークホルダーをいかに巻き込み、同じゴールを目指すかが大きな課題でした。
部門横断チームを動かす、リーダーシップの3つの要諦
手探りの状態からチームを率いる上で、リーダーが大切にしたことが3つありました。
- ビジョンの共有 まず掲げたのが、「ジャパンビューティーの体験で世界をつなげる」というビジョンです。単に「売上を上げる」のではなく、その先にある体験価値や顧客との繋がりをゴールに設定することで、部門を超えた会話の質が変わり、チームの目線が合っていきました。
- 現場の重視 街の歩き方、見方が変わったと言います。大阪の心斎橋、東京の銀座といったインバウンドの中心地に足を運び、旅行者がどのような情報を求め、どう行動しているのかを肌で感じる。WeChatや小紅書(RED)といった現地のSNSを自ら使いこなし、トレンドを肌感覚で捉える。この「現場感」が、机上の空論ではない、生きた戦略を生み出します。
- ナレッジの蓄積 インバウンド特有のインサイトを発見し、チームの資産として積み上げていくことも重要です。例えば、資生堂様の強みである「カウンセリング」。ECでの購買が主流の中国からの旅行者も、訪日時には「カウンセリングを体験したい」という強いニーズがあることが分かりました。実際に、指名買いで来店されたお客様も、カウンセリングを体験することで購入点数が増加するというデータも得られています。こうしたナレッジの蓄積と共有が、チーム全体の戦略レベルを向上させています。
全員を巻き込むための「仕掛け」
こうしたチームビルディングを加速させるため、私たちNOVARCAは資生堂ジャパン様と共同で、部門横断の「コンソーシアムセッション(合同勉強会)」を企画・開催しました。
ブランド担当者も営業担当者も、インバウンドの最前線で戦うメンバーも、同じ場で最新の市場動向や成功事例を学ぶ。これにより、他部門が何を考え、何を目指しているのかを相互に理解し、「これから一緒に取り組んでいこう」という当事者意識が生まれます。こうした「仕掛け」が、部門の壁を溶かし、チームの結束力を高めていきました。
まとめ
資生堂ジャパン様の事例は、インバウンド戦略の成否を分けるのは、結局は「人」であり「組織」であることを教えてくれます。
- 明確なビジョンが、チームの羅針盤となる。
- 現場とデータから得られるナレッジが、戦略の精度を高める。
- 全員を巻き込む「仕掛け」が、部門の壁を越えた協力を生み出す。
私たちNOVARCAは、マーケティング施策の実行だけでなく、クライアント様の組織が抱える課題に寄り添い、こうしたチームビルディングの段階から戦略的パートナーとして伴走します。
「インバウンドに全社で取り組みたいが、どこから手をつければいいか分からない」「部門間の連携がうまくいかない」。そんなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひ一度NOVARCAにご相談ください。

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